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内田さんのフェミニズム批判の意味を考える 2

瀬戸さんの「母親と保育所とおむつ」で主張されている内容に立ち入る前に、もう少し長い前置きを書いておきたいと思う。これは、内田さんが直接論じていることではないのだが、僕が内田さんの言説を肯定的に受け取る素地として考えておいた方がいいと思うことだ。それは、僕が持っている「フェミニズム」というものに対するマイナスイメージというものだ。

僕は三浦つとむさんの「官許マルクス主義」批判によって「マルクス主義」に対するマイナスイメージを持っている。マルクス主義には様々のバリエーションがあるので、これを十把一絡げにするのは論理的な厳密さという点で問題だとは思うのだが、崩壊した社会主義国家のイデオロギーとして知られていたものが、一般的な意味では「マルクス主義」と考えられていると思うので、三浦さんが言う「官許マルクス主義」を「マルクス主義」と捉えて考えていこうと思う。

この「マルクス主義」の間違いはいくつかあるのだが、もっとも顕著に見えるのが「教条主義」と呼ばれる間違いだろう。マルクスの言説というのは、その意味を文脈に沿って受け取らなければ正しく受け取ることが出来ない。マルクスの言説が正しい命題となるのは、それを主張する条件とともに考えなければならない。

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by ksyuumei | 2006-11-12 12:42 | 内田樹

内田さんのフェミニズム批判の意味を考える 1

「仮言命題そのものの真理性とその前件と後件の真理性」という古いエントリーに、瀬戸智子さんから「母親と保育所とおむつ」というトラックバックをもらった。

僕はおおむね内田さんの主張を肯定的に受け取っており、瀬戸さんは否定的に受け取っているように見える。その違いがどこにあるかを考えるのも興味深いことだ。瀬戸さんの言説には僕は信頼を置いているので、僕と全く正反対の主張であっても、その根拠を理解することは論理的に興味深いものだと思う。論理的な根拠なしに瀬戸さんがこのような主張をするとは思えないからだ。

ただ、この問題を論理として客観的に設定するには整理しなければならないことも多いように感じる。内田さんが主張している対象がどこにあるのか、その本質がどこにあるのか。そして僕がそれをどう受け取っているのか。また瀬戸さんが、僕の言説と内田さんの言説の意味をどこに本質があると見ているのか。瀬戸さんが主張していることが、僕や内田さんが語ることとどのように接点を持つのか。このような前提の問題を良く吟味しないと、この主張の違いは、単なる「見解の相違」ということになってしまうだろう。

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by ksyuumei | 2006-11-12 08:46 | 内田樹

ナショナリズムはなぜポピュラーになるか

マル激を聞いていると、宮台氏がナショナリズムについて発言することが多いのだが、現代社会においてポピュリズムを獲得するにはナショナリストでなければならないという発言をよく聞く。この意味が僕にはあまりよく分からない。

確かに現象としてみれば、小林よしのり氏の一連の著作がベストセラーになるのを見ると、ナショナリストが人気を博するというのが事実としてあるのかも知れないとは思える。だが小林氏の著作を読んでいるのは圧倒的に若者が多く、それを社会全体の現象として受け止めるには躊躇を感じる。

教育基本法に「愛国心」の記述を入れることに反対する人の数もかなり多いように見える。だから、ナショナリズムが必ずしも圧倒的多数派をなしているようには見えない。だが、結果として安倍内閣が高い支持率を持ち、高い人気を持っているということは、ナショナリズムの人気のあらわれのようにも感じる。

ナショナリズムに関しては、それに深く共感する人と、それを敬遠する人が存在し、僕がどちらかというと敬遠したい側の人間に属しているので、その人気性というものを理解出来ないのではないかと思う。ナショナリズムが人を惹きつけるという魅力の部分が僕には良く理解出来ないので、人々がそれに共感するという気持ちを実感として受け止められない。

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by ksyuumei | 2006-11-09 09:53 | 論理

「北朝鮮」の行為の戦略性を考える

青山貞一さんの「北朝鮮の「核保有」で憂慮される課題(2)」という記事に、「北朝鮮問題は劇的に解決を迎える!」という日刊ゲンダイの興味深い記事が転載されている。青山さんは、「以下の日刊ゲンダイの速報は、6カ国協議再開の裏側をえぐっている」と語っており、その見方の一面の正しさを感じているのではないかと思われる。僕が関心を持ったのは、その結末の部分だ。それは次のように語られている。


「米朝の「電撃接近」を予測していた元外務省北東アジア課課長補佐(北朝鮮担当班長)の原田武夫氏がこう言う。

 「かつてのニクソン訪中、カーター訪朝の再現は十分考えられます。恐らく、金正日は引退し、その見返りとして米国は“金王朝”の体制を保障、核実験についても不問に付すシナリオではないか。後継者は、長男の金正男です。正男は米国とも中国とも良好な関係を築いているので、米中朝いずれにとっても好都合なのです。その上で、『核開発中止』『原子炉建設』を条件に国交正常化に乗り出す。すでに原子炉は米GE製で、韓国が建設を請け負い、カネは日本に払わせるというシナリオが米朝間でできていても不思議はない。これで北朝鮮危機は一気に解決します」」

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by ksyuumei | 2006-11-08 10:02 | 論理

自分の素質と才能を知る--夢とその断念について

休みの日は、youtubeで見つけた押尾コータローという人のギター演奏に聴き入っていた。なかなか見事なテクニックと楽しそうに演奏するその姿に好感を持って見入っていた。そして彼が自分について語った番組のクリップを見て、ますます好感の度が強まったのを感じた。

彼は非常に優れた技術と才能を持っていたが、売れ始めたのは最近のことのようだ。若い頃は音楽を職業にすることを断念したことがあるようだ。いくら優れた技術を持っていても、それを発揮する場がなければ職業としては成立しない。彼もそのような不運に見舞われ、ある意味では夢を断念するという苦い体験をしたようだ。

しかし、彼に言わせると、何をやってもうまくいかず、つくずく他の職業に関しては自分に才能がないことを痛感したようだ。それならばとまた戻ってきた音楽の世界で、音楽を仕事にすることが出来れば、それだけで幸せではないかと思ったとき、幸運にもその音楽が広く受け入れられ人気を博して彼は仕事でも成功をするという、いい方向への転回が始まって現在に至っているようだ。

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by ksyuumei | 2006-11-06 09:58 | 雑文

宮台氏の「左翼の嘘」という発言の意味

漫画家の江川達也氏をゲストに招いたマル激の議論で、宮台真司氏は「左翼の嘘」という表現を使った。これは、「朝鮮人強制連行」に関わる言説で、「全て」の在日朝鮮人が強制連行で連れてこられたというのは嘘であって、強制連行による人も「存在した」のは確かだが、大部分は自ら日本へ来た人ばかりだったというものだった。

この事実に関しては僕も驚きだった。宮台氏自身も、高校生まではこの「左翼の嘘」が正しいというイメージを持っていたそうだが、僕はついこの間までは、大半は強制連行された人だったのではないかと感じていた。それが全く逆だったというのが事実の方だというのは驚くことだった。

宮台氏によれば、この「強制連行」に関わる言説が嘘であること(大半が「強制連行」ではないということ)は、在日の人々の間では自覚されていたそうだ。宮台氏はそれを在日の人たちに直接聞いたという。しかし、何らかの理由で、この嘘(一部の「存在」を「全て」に言い換えるというもの)が流通することが有利に働くことがあったので、長い間これが暴かれることがなかったのではないかと語っていた。

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by ksyuumei | 2006-11-02 09:54 | 論理

疑問を感じる教育界の二つの事件

いじめによる自殺ではないかと思われている事件において、学校側が「いじめの事実が確認出来ない」と主張することが続いているようだ。これは学校側の認識の甘さや責任逃れという面が感じられて、外から見ている人間にはケシカランことのように映るのではないかと思う。

しかし「確認出来ない」と言うことはある意味では本音を語っているようにも僕には見える。むしろ、「確認出来ない」という状況を生み出す社会の側の問題が本質的に重要なのではないかとも思える。これが確認出来るようになったとしても、社会の状況が変わらなかったら、学校がこのことの解決に出来ることは乏しいのではないかとも感じる。

もう一つ変な感じを受けるのは高校における必修科目の世界史の履修漏れの問題だ。この問題は、その解決において、全く責任がない生徒の側に一番大きな負担を強いると言うところに変な感じを受ける。履修漏れがあったから、その漏れた世界史の科目を履修して問題を解決するというのは、理屈としてはつじつまが合うかも知れないが、どこに一番責任があるかという問題は棚上げになってしまう。それがはっきりしないと、何か変な感じが残るのではないだろうか。

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by ksyuumei | 2006-11-01 10:35 | 教育