2008年 12月 18日 ( 1 )

田母神論文の論理的考察 5

田母神俊雄氏(防衛省航空幕僚長空将)は論文「日本は侵略国家であったのか」で、前回に続く文章として次のように記述している。


「我が国は満州や朝鮮半島や台湾に学校を多く造り現地人の教育に力を入れた。道路、発電所、水道など生活のインフラも数多く残している。」


ここで記述されていることがどのような意味を持っているかということは、直接記述されてはいないが、文脈から解釈すれば、日本が中国や朝鮮半島の近代化に貢献したということを主張したいのだろうと感じる。これが本当に「貢献」になったかどうかという点については異論を感じるところではあるが、その真偽については今は問うことなく、それが論理的な流れの中でどのような意味を持っているかを考えてみたい。この事実を語ることで田母神氏は、実は自らが抱いている「侵略」というものの概念について語っていると解釈できるからだ。

「侵略」という言葉の概念は、物理的な属性のように対象をよく観察すれば誰でも合意できるような属性として見出せるものではない。そこには様々な判断と評価が複雑に混在していて、その複雑な判断と評価に合意したときに初めて「侵略」という言葉の概念に対しても同じものを持つという合意が成立する。複雑な対象を表現する言葉はだいたいそのような性質を持っている。「数学」の定義は数学者の数だけ存在すると言われている。複雑な言葉はそれをどの視点から見るかで解釈が違ってくる。日本のかつての行為が「侵略」であるかどうかという判断は、「侵略」という言葉の概念によって判断が違ってくる。

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by ksyuumei | 2008-12-18 09:59 | 論理