2008年 12月 07日 ( 2 )

クラインの四元群と親族の構造

クラインの四元群というのは、元を4つしか持たない集合が満足する群構造を指す。群構造というのは、代数的な計算の構造を言い、任意の2つの要素を1つの要素に結びつける計算の構造を持つ集合を群と呼んでいる。具体的には、かけ算や足し算が持つような構造を抽象したものとしてイメージされる。

整数の足し算でイメージをすると、まずはその演算(足し算)が、整数の集合の中では閉じている、つまり答えがまた整数の中で見つかるということが必要になる。これは、どんな整数を具体的にとってきても、その足し算の答えがまた整数になっていることから確かめられるだろう。この閉じた演算に対して、次のようなことが言えるなら、整数の集合は足し算について群をなしていると言える。


1 任意の3つの整数a,b,cが結合律を満たす。
   (a+b)+c=a+(b+c)

2 単位元(足し算をしても値が変わらない)が存在する。整数の場合は0が単位元になる。
    a+0=0+a=a

3 逆元(足し算の結果が単位元0になるようなもの)が存在する。整数の場合は、正負を逆にした数が逆元になる。
    a+(-a)=(-a)+a=0


整数の足し算に限らず、このような演算規則が成立するものを群として抽象的に捉えて、群であれば成立するような数学的な法則性を求めることが群構造の考察ということになる。

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by ksyuumei | 2008-12-07 23:50 | 構造主義

レヴィ・ストロースの「親族の基本構造」における群構造の理解

レヴィ・ストロースが、オーストラリアの未開族であるカリエラ族における親族関係の中に群構造を見出したのはよく知られている。婚姻の規則の中に、クラインの四元群と同じ構造があることを見出した。このことについて、今までの僕の感覚では、それまで誰も気づかなかった隠された構造(仕組み)を発見したことにレヴィ・ストロースの偉大さがあったと感じていた。

しかしこのような理解は、ある意味では複雑で難しいパズルの答えを見出したことの頭の良さに恐れ入ったというような感覚だったようにも思う。レヴィ・ストロースの天才性に偉大さを感じていただけであって、その内容(構造を見出したということの意味・意義)の偉大さを理解していたのではなかったような気がする。

つい最近手に入れた『思想の中の数学的構造』(山下正男・著、ちくま学芸文庫)という本の中に、「構造」の発見という構造主義の視点がいかにすごいものであるかということを教えてくれる文章を見つけた。レヴィ・ストロースの個人的なすごさというのは、「構造」というものの持つ思想史的な意味・意義(人間がどれほど物事を深く広く押さえられるかという思考の発展の持つ意味・意義)の大きさから感じられるものだということが分かるようになった。レヴィ・ストロースは有名だからすごいと感じるのではなく、このようなすばらしい思考の過程を教えてくれるからすごいのだと思えるようになった。それがうまく伝われば嬉しいと思う。

さて、おおざっぱに構造発見のすごさを語ると、人間が現実の観察から得られるような現象的な記述というものをそれだけをベタに受け取るのではなく、構造というものがそこに存在してそれが必然性を教えるということを考えると、世界の仕組みが分かったというような気がしてくる。それがすごいことだと僕は思う。偶然そうなっていることを発見して、「ああ珍しいこともあるものだなあ」と思ったり、「面白いな」と感想を抱くだけではなく、その現象が、ある意味では当たり前の現象として現実に発見できることの、根源的な理由を構造が教えるというような発想を見出したことがすごいと思った。

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by ksyuumei | 2008-12-07 16:07 | 構造主義