2008年 10月 29日 ( 1 )

図と地という視点

『ゲーデル、エッシャー、バッハ』という本では、図と地に関する一章が設けられている。図というのは、絵画的表現で言えば、表現したい中心になるようなもので「積極的な部分」と書かれている。その表現を見たときに、目立つものとしてすぐ目に入ってくる部分というようなイメージだろうか。それに対して地の方は、その目立つ部分を支える背景に当たる部分になる。この本では「消極的な部分」と呼ばれている。これが目立つようでは図の表現がかすんでしまうから、確かに消極的でなければならないだろう。

この図と地という二つの概念は,ゲーデルの定理を理解するための比喩として語られているように思う。ゲーデルの定理では「証明可能ではない」という考え方が証明の中心をなす。しかし、形式システムでその性質が目立って我々に見えてくるのは「証明可能である」という方だ。つまり「証明可能性」の方が図であって、「証明不可能性」は、その図が見えた後に背景として浮かんでくる地の方だと考えられる。

図の方は目立つので直接捉えることが容易だ。「証明可能性」の方は、出発点である公理から正しい導出法則を適用してあれば、それが「証明できる」ことを直接語ることが出来る。しかし、「証明できない」ということは、いくらやっても出来なかったという結果を示すだけでは「証明不可能性」を示したことにならない。どのような可能性を考えても「証明が出来ない」ということを示さなければならない。

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by ksyuumei | 2008-10-29 10:02 | 論理