2008年 08月 27日 ( 1 )

論説文の主張を形式論理で理解する 1

論説文の主張というものを形式論理のメガネで見てみようかと思う。論説文というのは、事実を単に記述するだけのものではなく、そこに中心となる主張が発見できる。そして、それが論説であるということは、その主張が論理的に根拠づけられているということでもある。それが本当に根拠づけられているものであるか、形式論理を利用して考えてみようと思う。論説文の代表としては2008年8月25日(月)の朝日新聞の社説(「グルジア紛争―ロシアは全面撤退せよ」)を取り上げてみた。インターネットでは時間がたつと見られなくなってしまうので、これも一応全文引用しておこう。


「黒海沿岸の小国、グルジアに侵攻後そのまま居座っていたロシア軍が撤退を本格化させている。まだ一部の部隊が残っているが、ようやく事態収拾への一歩が踏み出された。
 この2週間余りの紛争が残したつめ跡は生々しい。ロシア軍とグルジア軍が戦火を交えた南オセチア自治州の村々では多くの住宅が破壊され、住民に多数の死傷者が出た。
 戦火を逃れた避難民は10万人余り。南オセチアを越えて侵攻したロシア軍によって、グルジア領内の鉄道は寸断され、港湾施設は爆破された。
 グルジアなどのカフカス地域はロシアと歴史的に縁が深い。だが、今回の軍事行動によって、ロシアへの不信や反発が世界に広がったことをメドベージェフ大統領は忘れてはならない。
 ロシア軍の侵攻を非難して、北大西洋条約機構はロシアとの対話のパイプを凍結した。旧ソ連による抑圧を経験したバルト3国やウクライナ、東欧諸国では反ロ感情が燃え上がった。
 グルジアの安定にとって懸念されるのは、領内に残るロシア軍の動向だ。
 ロシアは「撤退は完了した」としている。だが実際には南オセチア、アブハジア自治共和国の両地域に沿ったグルジア領内に「安全地帯」を設け、「平和維持部隊」の名目でロシア軍を駐留させ続けている。
 安全地帯の設立は停戦合意で認められている。だが本来は、紛争の当事者を除いた国際部隊を駐留させるのが筋だ。安全地帯から離れた都市で駐留しているが、これは合意違反だ。
 ロシアの影響力が強い南オセチアやアブハジアでは分離独立の動きが続いている。ロシア軍の駐留が長期化すれば、両地域での動きに拍車をかけ、問題を一層こじらせるだろう。
 混乱を避けるために、ロシア軍はグルジア領内から部隊を全面的に撤退させなければならない。グルジアの領土の一体性も尊重する必要がある。こうしたことについて国連安保理の協議でロシアは譲歩し、合意を急ぐべきだ。
 正常化のために米国や欧州諸国が負っている責任も大きい。
 米ブッシュ政権はこの間、ロシア非難のトーンを上げてきた。グルジアの親米派政権の土台が脅かされたことへの反発からだろう。だが、今はかつての冷戦時代ではない。「対テロ戦争」から世界経済の運営や地球温暖化にいたるまで、ロシアの協力が欠かせない問題ばかりである。
 欧州諸国が紛争仲介に熱心なのは、米ロ関係の悪化が欧州の安全保障に影響しかねないとの懸念からだ。
 領土問題へのロシアの姿勢には無関心ではいられない。日本政府はカフカス地域の安定のため、まず、全面撤退に踏み切るよう、ロシアに働きかけてもらいたい。」

More
[PR]
by ksyuumei | 2008-08-27 09:36 | 論理