2008年 08月 12日 ( 1 )

敵対的矛盾の考察

弁証法的な矛盾に関して、非敵対的矛盾というのは現実に観察できる・現実に存在する矛盾としてとらえられていた。それは視点をずらしたときの見え方を並べることで、二つの主張が対立して矛盾を形成しているように見えるけれど、違う見え方を述べたのであるから形式論理的な矛盾ではない。つまり肯定と否定が同時に成り立っているという現象が現実に現れているわけではない。形式論理的な矛盾というのは、決して見つけることが出来ない。なぜならば、肯定が正しくないときにのみ否定が主張されるというのが形式論理だからだ。それが同時に成り立つようなら、それは否定の定義に反するのであって、その現象を否定とは呼ばない。

実際には、非敵対的矛盾として提出されているものはすべて視点の違いで解釈できる。三浦つとむさんは非敵対的矛盾を調和する矛盾と呼んだが、これは現実存在というのは、視点を変えれば違う見え方をするというのを「調和」と呼んだのだと思う。三浦さんは「前進している」と同時に「前進していない」という矛盾を、ベルトコンベアと反対方向に移動するという例で実現する敵対的矛盾の例を『弁証法はどういう科学か』で提出していた。

この矛盾は対象としてはつまらない矛盾だが、視点の違いを考えるのは適当にやさしい例となっている。歩いている本人から見ればそれは前進していると考えられる。しかしそれを外から眺めている人にとっては、ベルトコンベアの流れの方が早ければ後退しているように見えるし、ちょうど同じ早さなら静止しているように見える。いずれにしても前進してはいないと言えるだろう。だがこれは同時に同じ視点で実現しているのではない。それぞれの視点で見るとそう見えるというだけで、形式論理的な矛盾になってはいない。

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by ksyuumei | 2008-08-12 09:39 | 論理