2008年 08月 06日 ( 1 )

形式論理における「二重否定の法則」と弁証法における「否定の否定の法則」

形式論理と弁証法では、そこで使われる「矛盾」という言葉に際立った概念の違いを感じるが、「否定」の概念についても微妙な違いを感じる。これは「矛盾」ほどその違いがあらわになっていないので、どちらも同じ「否定」ではないかと感じる人も多いのではないだろうか。しかし、形式論理における「二重否定」はまた元の命題に復帰するのだが、弁証法における「否定の否定」は元の命題に帰るのではなく、元の命題が発展した形での命題に復帰することになる。ここに両方の「否定」の概念の違いが現れている。

一言で言ってしまえば、両方の概念の違いは「視点」の違いとして記述できる。弁証法というのは、基本的に「視点」をずらすことによって現実の中で新たな発見をもたらそうとする発想法だ。それに対し、形式論理というのは、形式論理が正しくなるような世界を構築し、その世界の中では厳密に言葉通りの約束が成立するということを要求する、言葉の使い方に厳密な意味を与えようとする一つの理論体系だ。

形式論理は、その体系が完結していることを要求するので、体系の中で定義されたものが途中で変化することを許さない。あくまで固定的に対象を設定して、その固定した静止の中で成立する法則性を求める。しかし、弁証法は、現実に対して有効な発想をもたらそうとするために、現実の多様性や変化を許容するような論理を設定しなければならない。それはある事柄を固定的に設定したのでは、変化や多様性を受け止めることが出来ない。そのため、いつも「視点」をずらすことによってその変化や多様性を受け入れる余地を作り出す。だから「否定」も絶対的な「否定」ではなく、「視点」によっては「否定」にならない「否定」である場合がある。そこに僕は両者の違いを見る。

More
[PR]
by ksyuumei | 2008-08-06 18:42 | 論理