2008年 08月 02日 ( 2 )

レヴィ・ストロースのすごさ

構造主義を語るときに、人類学者のレヴィ・ストロースは絶対に欠かせない重要な人物となっている。「親族の構造」の解明こそが、構造主義の歴史における金字塔として紹介されている。だが、今までの僕は、このレヴィ・ストロースの業績に対して、いったいどこがすごいのかということが分からなかった。確かに、世界で初めて構造というものに注目してその理論をまとめたという先駆者性は認めるものの、それは単に一つの解釈を提出しただけではないのかという思いがあった。

インセスト・タブーと呼ばれる近親相姦の禁止の習慣を、それは女の交換というものを生じさせるためだという、人々を驚かせるような意外な理論を提出したところにすごさがあるとも思えない。だいたい、この理論の正しさを僕はよく分かっていないので、これが本当に正しいと確信できなければ、この理論を提出したことのすごさというものが実感としてわいてこない。これは本当に正しいのだろうか。正しいと言われているから、何となく正しいのかなという感じを持ってしまうが、これは論理的にそのような結論が明確に出るのだと、論理の流れを構築できるものなのだろうか。

レヴィ・ストロースは有名で、誰もがそのすごさを口にするから、何となくすごいと思わないといけないような気がしてくるが、実感としてそういう気持ちになれないので困っていた。何とかしてそのすごさを実感したいと思ったが、レヴィ・ストロースの解説書をいくつか読んでもなかなかすごさが伝わってこなかった。しかし、『レヴィ=ストロース』(吉田禎吾、板橋作美、浜本満 共著、清水書院)を読んで、ようやくそのすごさを実感することが出来た。この本の第二章を浜本氏が執筆しているのだが、そこで語られている「親族の基本構造」の解説を読んで、初めてレヴィ・ストロースのすごさを感じることが出来た。

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by ksyuumei | 2008-08-02 23:19 | 雑文

政治的決定に人々が従うための源泉としての「権力」の概念

宮台氏の「社会学入門講座」での、いよいよ最後に登場する「政治システム」の概念の理解に向かいたいと思う。「政治システム」とは「連載第二二回:政治システムとは何か(上)」によれば「社会成員全体を拘束する決定──集合的決定という──を供給するような、コミュニケーションの機能的装置の総体」というものになる。「政治」については、様々な側面が見られることだろうが、その機能に着目して、秩序維持のメカニズムを解明したい社会学(システム理論)では、このような定義(概念化)が妥当だろうと思われる。

この「政治システム」が講座の最後に登場するというのは、それなりに社会の構造を反映しているのではないかと思われる。政治こそが、現代社会の安定的な秩序の維持に決定的な要因を与えているようにも思われるからだ。現代社会というのは、慣れ親しんだ他者だけではなく、匿名の大多数の見知らぬ他者とつきあっていかなければならない社会となっている。そのような他者がどのように振る舞うかは、全く白紙の状態であれば予想もつかない不安なものになる。社会の中で、安定した秩序ある生き方ができるようには思われない。

そのとき、大多数の行動を支配する政治的決定に信頼ができるのであれば、現代社会の様々な人々の行動の現れに信頼を置くこともできる。政治的決定は、個人的な口約束とは違い、それを守るべきだということがすべての人々に了解されているもっとも信頼の高いルールである。社会の秩序を説明するのに、もっともふさわしいシステムとなるだろう。これが最後に説明されるということで、最初の方にあった問い「社会とは何か?」ということも、この概念からの連想で、「政治的決定が守られるシステムを持っている」社会を、安定した社会と呼ぶことができるのではないかと思う。

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by ksyuumei | 2008-08-02 15:54 | 宮台真司