2008年 07月 26日 ( 2 )

宗教システムの具体的現れと社会の中での位置付け

「連載第一九回:宗教システムとは何か(下)」で宮台氏は、「〈世界〉内の事象は基本的に偶発的ですが、大抵は事後的な前提挿入により馴致可能です」と語っている。これは、偶発性がある種の合理的解釈で片付けられるなら、それによって不安がもたらされることなく、それはやり過ごせるものになることを教える。「「病気に罹ったのは不摂生だったからだ」というとき、「自分だけ病気に罹る」という偶発性は「不摂生だった」という前提が持ち込まれることで、受容可能に加工されます」というわけだ。

すべての偶発性がこのように解釈で切り抜けられるなら、その個人には不安もパニックもないだろう。しかし、「偶然の出会い・不慮の死等は、そうした前提挿入を以てしては納得不能な、前提を欠いたものとして現れ得ます。「個別の出来事」のみならず、なぜ「その」法則、「その」道徳が存するか、という具合に「一般的枠組」も前提を欠いたものとして現れ得ます」と宮台氏が語るように、すべてをやり過ごすことは、複雑化した現代社会では難しい。この、不安とパニックを起こしそうな偶発性に対して、それを無害化し受け入れ可能にする機能として宗教が存在する。

「前提を欠いた偶発性は、期待外れの衝撃を吸収困難にし、意味あるものに意味がないという形で〈世界〉解釈を不安定」にする。これを無害化するシステムがあれば、社会はその働きによって安定し秩序を保つことが出来るだろう。これが宗教というものの、社会システムに対する基本的な存在の理由になる。システムとしてその存在を捉えるなら、このような機能を持つ装置として考えることがもっともふさわしい。

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by ksyuumei | 2008-07-26 23:08 | 宮台真司

機能(システム)としての「宗教」概念

宮台氏は、「連載第一八回:宗教システムとは何か?(上)」で下位システムの一つである「宗教システム」について書いている。下位システムとは、上位のシステムが、その機能の達成のために機能を分化してその内部に部分として作りあげたシステムになる。

この下位システムに対しては、上位のシステムは「環境」となる。下位システムの存在の前提条件を供給するものとなる。この下位システムが「下位」と呼ばれているのは、単に部分として含まれているという関係だけではなく、上位システムの存続のための機能(秩序を保つための機能)を分け持つという「分化」という関係に注目してそのような呼び方をしている。注目するのは機能の分化である。

システムというのが、そもそもある機能を達成するための装置と考えられているので、このような思考の展開は、システムの概念から導かれる流れとしては自然なものになるだろう。社会をシステムとして捉えるというのは、社会において秩序が達成されるための機能を持つ装置のメカニズムを解明するという理解のしかたになる。社会の全体性をいきなり捉えるのは難しいので、その一分野を受け持つ下位システムをまず解明しようという方向は、論理的にも理解しやすいものになるのではないかと思う。

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by ksyuumei | 2008-07-26 12:58 | 宮台真司