2008年 07月 15日 ( 3 )

機能的側面に注目した「宗教」と「他者」の概念

宮台真司氏が「連載第九回 予期とは何か?」で触れていた「宗教」と「他者」の概念についてもう少し詳しく考えてみようと思う。宮台氏は、ここで「宗教」について「宗教とは、前提を欠いた偶発性を、無害化して受け入れさせる機能的装置です」と語っている。

ここで言う機能とは、「そのままでは不安を惹起する」「前提を欠いた偶発性を「世界体験」や「現にある社会」からかき集めて、「神」や「英雄」に帰属し、理解と儀式の対象にすることで不安を鎮める」というものだ。この宗教の定義(概念)は、極めて一般理論的な言い方ではないかと思う。あらゆる宗教に対してこの言い方が当てはまり、それは文脈自由なものとして、機能的側面を語りたいときに有効となる。つまり、宗教という概念を論理展開のための道具として使うには扱いやすい概念となっているだろう。

しかしこの概念は、一般理論的であるがゆえに、普通の日常用語としての宗教というイメージだけを持っている人には、なんでこれが宗教なんだという引っ掛かりがあるのではないかと思う。日常用語としての宗教は、このような抽象された言い方ではなく、いつでもある特定の宗教と結びついたイメージで語られるのではないだろうか。それはキリスト教であったり仏教であったりするだろうが、宗教というのは、そのような具体性のイメージが普通は強く出てくる概念ではないかと思う。

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by ksyuumei | 2008-07-15 23:22 | 宮台真司

信頼の本質としての「予期」の概念

宮台真司氏が「連載第九回 予期とは何か?」で語る「予期」という概念を考えてみたい。この回の講座では「予期」のほかにも重要な概念がいくつか提出されているのだが、まずは「予期」という最重要な概念について、その明確なイメージをつかむことに努力してみようと思う。

この「予期」はもちろん社会学という学問における専門用語で術語と呼ばれる学術用語になる。したがって、日常的に使用する辞書的な意味を持つ「予期」とは概念が違うだろうと予想できる。いつものように辞書的な意味をはっきりさせて、それをさらに抽象して、システムを考える上での「信頼」をより明確にさせうるような概念として「予期」というものの本質的な意味をつかんでみようと思う。

「予期」を辞書で調べてみると、「前もって期待すること」と書かれている。まさに文字通り「予」という言葉を「予定」「予想」などに使われている「あらかじめ」「前もって」などという意味で解釈し、「期」という言葉を、「期待」という意味で解釈している。辞書的な意味は、「信頼」のときもそうだったが、やはり個人が持っている認識との関連でイメージされているように思う。「前もって期待する」というのは、個人の心の働きとしてそのような現象が想定されているように感じる。これを社会学で取り扱う概念として利用するには、個人ではなく、社会における「予期」として概念化する必要があるのではないかと思う。

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by ksyuumei | 2008-07-15 09:45 | 宮台真司

社会における「合意」と「信頼」(個人の場合とどう違うか?)

宮台真司氏は「連載第八回 社会秩序の合意モデルと信頼モデル」では、「合意モデル」と「信頼モデル」という考察で、社会が持つ秩序(確率的に低い状態が実現すること)の出発点となるものを考えている。

社会が定常性という秩序を持つのは、ある種の状況の変化が特定の選択肢をめぐってループする関係にあるものとして、特定のものが現実化することによって確率的に低い状態が定常的に維持されるからだと考えるのがシステムの考え方だと僕は理解した。このループは、そのどの状態が出発点になろうとも、ループである以上は、いったんその流れが生じれば安定的に定常性を保つようになる。だから、ある意味ではどこが出発点でもかまわないのだが、論理的な整合性が理解できる出発点として「合意」と「信頼」というものが想定されているように感じる。

内田さんが語る構造主義では、現実の社会がどうなっているかは、現実のそれを観察することで解釈できるが、それがなぜそうなっているかという出発点は決して知りえないものとして、こうなっているからそうなのだとしか言えないものとして提出されていた。ただ、原理的には決して解明できないものの、その出発点としての「零度」の探求が構造主義であるとも語られていた。これは、フィクションとしての、数学で言えば公理のようなものを設定して、論理の展開のために便宜的にそう考えてみて、もしそれで論理的整合性が取れるなら、そのようなものを「モデル」として設定することで、現実の一側面の理解を深めようとしているように思われる。

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by ksyuumei | 2008-07-15 00:43 | 宮台真司