2008年 03月 13日 ( 1 )

論理トレーニング 22 (論証の構造と評価)

論証を理解し評価するに際して重要なのは,「論証」と「導出」を区別して、別々に理解し評価するということだと野矢さんは注意する。「論証」というのは、その主張の全体構造に関わるもので、「導出」というのは、部分的ないくつかの「結論」を導くためのもので、「導出」では、「なぜ」を語る根拠が論理的に妥当であるかということが問題になる。構造的には次のように図示される。


   A ……根拠  ┐
   ↓ ……導出  ├(全体を)論証
   B ……結論  ┘


「導出」の妥当性は、必ずしも前提となる「根拠」の正しさを要求しない。「根拠」そのものが間違っていても、それから得られる「結論」が、否定しようがないということが論理的に確かめられるなら,その「導出」は妥当になる。野矢さんは次のような例を挙げている。


  根拠……ペンギンはコケコッコーと鳴く。コケコッコーと鳴くのは鳥である。
   ↓(だから)
  結論……ペンギンは鳥である。


この論証において、前提となる根拠の前半は間違っている。ペンギンはコケコッコーとは鳴かないからである。しかし、この根拠の正しさを問わずに、一応前提としてそれを認めると、結論を否定することはできなくなる。前提では、コケコッコーと鳴くのはすべて鳥であることが言われている。コケコッコーと鳴くものを「鳥ではない」と否定することができないのだ。

More
[PR]
by ksyuumei | 2008-03-13 09:34 | 論理