2008年 02月 27日 ( 1 )

論理トレーニング 15 (議論の組み立て)

野矢さんが提出する次の例題は文章が非常に長い。慎重に構造をたどっていこう。


例題2 次の文章において、その主題、問題、主張を、それぞれまとめよ。(必ずしも問題文からの抜き書きではなく、自分で的確にまとめよ。)
「自然科学の強みは実験ができることにある。そして実験の本質は、その再現可能性にある。実のところ、自然界に起こっている現象は決して再現可能ではない。一枚の紙をある高さから落としてみても、同じ落ち方は二度とはしない。そこで、現象が再現可能になるような形で、実験を行うのである。たとえば、糸の長さを精密に測るという問題が課せられたとする。これはなかなか厄介な問題であって、糸というものは、実際に測ってみればすぐ分かるように、その長さを精密に決めることはほとんど不可能に近いものである。むしろ精密な長さというものがないといった方が、よいかもしれない。糸をだらんとさせておけば、その長さは測れない。そうかといって、ぴんと張ると、その張り方によっていろいろに伸びるわけである。それに湿度も聞いてくる。それで精密に測ってみると、張力により、湿度により、温度によって、長さがみな違った値に出てくる。そこで他の要素を一定にしておいて、その中の一つの要素だけを変化させてみる。たとえば一定の湿度及び温度の下で、張力をだんだん変えて、長さを測ってみる。あるいは張力を一定にしておいて、湿度をいろいろに変えて測ってみる。そういうふうに長さの測定を、各要素ごとに、その要素の値が決まれば糸の長さも定まるようにして、精密に行う。そうすれば、いろいろな要素が重なり合った、ある条件の下における糸の長さというものを決めることができる。このように、他の条件をなるべく一定にして、ある現象を再現可能なものにする。それが実験なのである。」


この文章も非常に説得力を感じるものであり、論理的に優れているように感じる。こういう文章なら、論理的な分析の対象にしても、おそらく誰が解釈してもこういう結論に落ち着くだろうというようなものが得られるのではないかと思う。

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by ksyuumei | 2008-02-27 10:28 | 論理