2007年 10月 14日 ( 1 )

『論理哲学論考』が構想したもの4 ラッセルのパラドックスの解決

ウィトゲンシュタインが語るラッセルのパラドックスの解決は、数理論理学を勉強してきた人間にとっては実に意外な展開での解決になる。ラッセル自身は、タイプ理論というものを創設して、パラドックスの原因となるものを排除することでこのパラドックスを解決している。数理論理学的には、この方が「解決」という感じがする。

しかし、ウィトゲンシュタインの方法は、野矢さんの解説を読む限りでは「解消」と言ったほうがぴったりくるような感じがする。ラッセルのパラドックスは、論理を、パラドックスが生じるように解釈したことに原因があるのであって、そのように解釈しなければ、パラドックスではなくなってしまうというのがウィトゲンシュタインの発想のように感じる。

このような発想は、『論理哲学論考』の全体を貫いている基本的な発想のようにも見える。『論理哲学論考』では、哲学問題を思考の限界を越えたことにまで解答を見出そうとするものだと指摘することで、そもそもそれが問題にもなり得ないという事を示そうとしている。人間は、解答が得られるような問題にのみ思考を展開させるべきだというのが基本的な発想のように見える。

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by ksyuumei | 2007-10-14 11:16 | 論理