2007年 06月 18日 ( 1 )

波とはどういうものか

『量子力学』(山田克哉・著、講談社ブルーバックス)という本の冒頭には、「波の現象は、はた目で感じるほど簡単な現象ではありません」と書かれている。これは、目で見た波のイメージが、波の本質を直感的に把握させてくれるものではなく、むしろ誤解させる要素を多く含んでいるという意味ではないかと思う。

波は、見た目には「伝わる」というイメージがある。海の波が代表的だが、遠くに見える波がだんだんと自分のほうに近づいてくるのを感じる。また、紐を上下に動かすと波が出来るが、その波の形(紐が上に膨らんだように見える形)は、紐を伝わって動くように見える。この波の伝播は、波が「動いている」ように見えるのだが、実際には波の移動に伴って物質が移動しているのではない。

波においては、物質はその場における振動という動き方をしている。これは、物質の位置をまったく変えてしまう運動ではなく、また元の位置に戻ってくるという周期的な運動になる。波は、移動して遠くへ行ってしまうのに、物質そのものはまた元の位置に戻ってきて位置の変化が限られているというのが波の本質である。波は見た目にはどこか遠くのかなたへ消えてしまうように見える。そのままでは元の位置に戻ってはこない。この、見た目と本質の違いは波の理解を難しくしているように感じる。

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by ksyuumei | 2007-06-18 10:47 | 論理