2006年 10月 23日 ( 1 )

現実的対象からの抽象と、抽象概念の現実的対象への適用

三浦つとむさんがマルクスについて語った部分だっただろうか、抽象的思考の上り下りというようなことを言っていた。上りというのは、具体的な対象からある属性を抽き出し他の属性を捨てる(捨象)ことを意味する。抽象とは同時に捨象であるということを新たな発見として感じたものだった。本質を抽象し、抹消を捨象することで対象を深く捉えるということが出来ると思ったものだ。

下りというのは、一度抽象した概念を、今度は具体的対象に適用してみることを意味する。ソシュール的な発想で言うと、現実を言語によって切り取るという理解になるだろうか。このような上り下りを繰り返すことによって、我々は世界の理解を深めていくのだというのが思考というものの本質ではないかと思われる。

三浦さんの言語学では、言語というのは対象の概念を表現するもので、語彙としてはその内容は概念という抽象的なものを指す。しかし、現実の言語の利用においては、目の前の具体的対象が、その概念の範囲に入っていると言うことから、それを呼ぶのにある言語を適用するという、抽象からの下りの現象が見られる。言語を実際に使用することが出来るというのは、それが抽象の上り下りの能力を持っていると言うことを示しているだろう。

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by ksyuumei | 2006-10-23 10:14 | 論理