2006年 09月 04日 ( 1 )

イラク人質事件の際のバッシング再考

仲正昌樹さんが『なぜ「話」は通じないのか』(晶文社)という本で、イラクの人質事件の際の議論の噛みあわなさを考察している。基本的には、論点のずれがあるにもかかわらず、どちらもそれに気づかず、自分の論点の主張をしているので、議論が噛み合っていないという指摘だ。議論を噛み合わせるには、何を議論しているかというお互いの了解があって、両者がマトモに議論を使えるだけの技術を持っているという基礎がなければならない。そうでないと、「話は通じない」ということになってしまう。

イラクの人質事件で問題なのは、議論が噛み合っていないということもあるが、さらに重要なのは、そこで人質になった3人に不当なバッシングがされたことだ。「自己責任論」という言葉で有名になったものだが、このバッシングは、まともな批判ではなく、根拠のない人格攻撃にまで発展してしまったので不当性が言われていた。

普通は、このような不当なバッシングはそれをする方が間違っており、その不当性を理解出来ないのは頭が悪いからだと思われてしまう。だが、当のバッシングをしていた多くの人々は、それを不当だと考えるまともなロジックよりも、何らかの感情のロジックによってそのようなことをしていたように僕は感じる。その感情のロジックを引き起こした要因は、バッシングされる側にもあったというのが仲正さんの考察だ。

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by ksyuumei | 2006-09-04 10:12 | 雑文