2006年 08月 26日 ( 1 )

『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)--野矢茂樹さんの『論理哲学論考』

僕が強くリスペクトを感じる学者に、もう一人哲学者の野矢茂樹さんがいる。野矢さんは専門が論理学であるという親しみも感じているのだが、なんといってもリスペクトに大きな要因として感じているのは、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を理解するための媒介としていろいろなことを学ぶことが出来たからだ。

いきなり結論を語るウィトゲンシュタインの言葉を、一つずつ丁寧に解きほぐして、どのような思考を重ね、どのような論理をつなげていけばその結論に達するかを野矢さんは教えてくれた。これは、野矢さんに教育者としての優れた資質があったからではないかと思う。学者としてのリスペクトとともに教育者としてもリスペクトするものである。

ウィトゲンシュタインの文章はとてつもなく難しいが、野矢さんの文章は易しく理解しやすいように配慮されて書かれている。その野矢さんが、野矢さんなりの『論理哲学論考』を書き直すとすればこれではないかと思ったのが『はじめて考えるときのように』という小さな本だった。この本はとても面白く、とても深い内容を持ったものだ。

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by ksyuumei | 2006-08-26 10:44 | 雑文